第2章 ガープス戦ういろいろロボットのキャラクター

 ベーシックルールに準じてキャラクターを作成して下さい。100CPのキャラクターが一般的な「エース」パイロットになります。プレイヤーキャラクターのほとんどがパイロットになるシナリオならば、特別に編成されたエリート部隊や現場でたたき上げた強者が集まった小隊などになるでしょう。新米パイロットなら50CP以下、歴戦の勇士クラスで150CP程度で作成して下さい。ロボットを操縦するためのCPは意外と少なくてすむのです。
 複数のパイロットが乗り込むスーパー合体系などはパイロットが技能の役割分担をしても構いません。一人は射撃の専門家、一人は格闘の専門家というようにすればCPを節約できると共にプレイの幅も広がるでしょう。
 組織に属していないキャラクターは山賊や海賊、流れの鉱山労働者、石油の採掘技能者、深海労働者等々…ロボットを必要とする「危険な」作業に従事するはずです。ロボットを使った「安全な仕事」というのが本来「危険な作業から人間を守る」ロボットの目的から外れてしまうわけですから、戦闘以外での作業も危険なものであるべきです。
 TIRといえどロボットとロボットが戦わなければならないというものではありませんから、ロボットと巨大熊とか、ロボットと巨大蜘蛛とか、ロボットと恐竜とかもシナリオの範疇に入れておくべきです。ガープスの未訳サプリメントの中にはこういう生物ばかりを集めたデータ集のようなものも出ているので(数値ばかりなので英語が分からなくても楽しめます!)それを利用するのも良いでしょう。

第3章 ガープス戦ういろいろロボットの技能

 TIRでロボットを操縦するには…

ロボット操縦/種別 (肉体/並) 技能なし値:様々
ロボット飛行/種別 (肉体/並) 技能なし値:様々

 このよく似た2つの技能はロボットでの格闘、始動、イニシアティブの判定、その他ロボットのあらゆる物理的行動に使用します。
 この技能÷8レベルがロボットの移動力とイニシアティブ、そして「よけ」に加わります。さらに格闘武器を持つロボットなら技能の半分で「受け」が行えます。シールドを持つロボットならばシールドの受動防御が「受け」に加わります。(シールドでの「止め」は受けに含まれています。)どのタイプの攻撃を防御できるのかはロボットの装備を参照して下さい。
 ロボット操縦は「地面」「地中」「海上」で戦う場合に使用し、ロボット飛行は「空中」「海中」「宇宙」で戦う場合に使用します。「宇宙」ではロボット飛行に加えて無重力技能 BP172を最低1CPは持っていなければなりません。地形に合わない場所のロボット技能はどんなにレベルが高くても技能なし値として扱います。その際ロボットの修正値、移動力、イニシアティブ、よけも技能なし値を基準として計算し直します。
 技能なし値は似たタイプの操縦系統を持つロボットタイプに限り使用できます。これは各ロボットタイプの説明に記されてあります。技能なし値のないロボットタイプの場合(例 オーラバトラー、汎用人型決戦兵器等)、地形に合わない場所では「移動不可能」になってしまいます。

ロボット射撃/種別 (肉体/並)か(精神/難)
           技能なし値:ロボット操縦−6

 ロボット手持ちの射撃武器、固定射撃武器での命中判定に使用します。この技能は使用するロボットタイプによって技能の基準が変化します。これは各ロボットタイプの説明に記されてあります。

…以上で全てです。全てのロボットタイプはこの3つの技能であらゆる行動を判定します。
 シナリオ中にただ1種類のロボットタイプしか登場しない場合は、全員が同じ種別の「ロボット操縦」を覚えるものとします。シナリオに複数のロボットタイプが登場する場合は各ロボットタイプによって種別の専門化をする必要があります。

 例1 「オーラバトラー」しか登場しないシナリオなら、全てのキャラクターが自動的に「オーラバトラー操縦」技能を覚えます。もちろんその他の技能も「オーラバトラー飛行」と「オーラバトラー射撃」覚えることになります。 例2 シナリオ中に「オーラバトラー」と「ウォーカーマシン」という2つのロボットタイプが登場する場合、キャラクターは「オーラバトラー操縦」か「ウォーカーマシン操縦」のどちらかを選択して覚えることができます。両方のロボットタイプに乗りたい場合はどちらかを技能なし値で操縦するか、両方の技能を取得しなければなりません。
 例2 シナリオ中に「オーラバトラー」と「ウォーカーマシン」という2つのロボットタイプが登場する場合、キャラクターは「オーラバトラー操縦」か「ウォーカーマシン操縦」のどちらかを選択して覚えることができます。両方のロボットタイプに乗りたい場合はどちらかを技能なし値で操縦するか、両方の技能を取得しなければなりません。

 TIRの世界で操縦以上に大切なのはロボットを整備する技能です。全てのロボットタイプには「整備のしやすさ」が明記されており、稼働するたび「整備ランク」が徐々に上昇していきます。整備ランクの高いロボットは壊れやすく修理するのに高価な部品を必要とします。ロボットの整備ランクを買った状態のまま新品同様に保つのに必要な技能が…

ロボット整備/種別 (肉体/並)
ロボット工学/種別 (精神/難)

…の2つです。ロボット整備は実際にスパナやドライバー、ハンダごてを使ってロボットを修理する時に必要です。ロボット文化がある世界では文明レベルが上がってもボタン一つでロボットを修理できるほどのオートメーション化はされないようです。
 ロボット工学はロボットのどこが壊れているのかを判断する時に必要です。文明レベルが高い場合、この技能はロボットを調べる機械を動かすために使われます。この2つの技能ももちろん種別によってロボットタイプが分かれます。分類の内容はロボット操縦と一緒です。実際の整備方法は「ロボットの整備」を参照して下さい。
 ロボット技能をみずから専門化する事もできます。BP155 つまり、「ロボット飛行 オーラバトラー/ダンバイン」の様に乗り込むロボットまで指定するのです。例では、ダンバインを操縦するときのみオーラバトラー飛行に+5修正が加わります。そのかわり他のタイプのオーラバトラーに乗ったときは技能に−1が加わります。

ファティマ工学 (精神/至難) 前提:医師20、手術20
                技能なし値:なし
ファティマ育成 (精神/至難) 前提:心理学16、診断
                技能なし値:なし
ファティマ造形 (精神/難)  前提:人類学
                技能なし値:なし

主にモーターヘッドで使われる人造人間「ファティマ・ファッティス」を製造、運用するための技能です。
 ファティマ工学はファティマを設計し、作り出すための技能です。ファティマの傷などもこの技能で治療します。(通常の医師技能のように扱います。)
 ファティマ育成はファティマにロボットの演算操作、行儀作法を教え、優美さを与えるための技能です。また、ファティマ育成は「ファティマ疲弊値」を治療できる唯一の技能です。カウンセリングから始まって薬物投与、バグの除去までを行います。十分な設備があれば1D6+2の疲労値を治癒することが出来ます。最低限の設備なら1D6−2です。一回の治療にはおよそ1000ドルと一週間が必要です。
 ファティマ造形はファティマの衣装やアクセサリーをデザイン、作成するための技能です。通常、特にプレイング必要になるものではありませんが、戦闘により破れたファティマスーツを修復するときなどには重要な技能になります。
 基本的にファティマ工学とファティマ育成はNPCが取得すべき技能です。ファティマの設計は非常に時間と手間がかかるもので、生涯をファティマの設計製造にかけるくらいの意気込みがなければ取り扱えるものではありません。冒険の片手間に新型のファティマを設計できるほど簡単な技術ではないのです。マスターはこの点に留意してNPC向けのこの技能を簡単にプレイヤーが取得しないようにすべきです。

人間力技能/オーラ力 (精神/至難)

 オーラバトラーを操縦する際必要な技能で、レベルが低いとオーラバトラーは動かなくなり、レベルが高いほどオーラバトラーの体力と防護点が上昇します。しかし、オーラバトラー固有の「限界オーラ力」を越えてしまうと「暴走」する可能性が出てくるのでレベルの上げすぎには注意が必要です。オーラ力技能は任意にレベルを下げることができない技能です。

人間力技能/同調力 (精神/至難)

 汎用人型決戦兵器を操縦する際に必要な技能です。レベルが低いと汎用人型決戦兵器は動かなくなり、レベルが高いほど汎用人型決戦兵器の体力と敏捷力が上昇します。しかし、汎用人型決戦兵器固有の「限界同調力」を越えてしまうと「融ける」可能性が出てくるのでレベルの上げすぎには注意が必要です。同調技能は任意にレベルを下げることができない技能です。

人間力技能/熱血力 (精神/至難)

 スーパー単体、合体系を操縦する際に必要な技能です。レベルが低いとスーパー単体、合体系は動かなくなり、レベルが高いほどスーパー単体、合体系の敏捷力と防護点が上昇します。しかし、スーパー単体、合体系の「限界熱血値」を越えてしまうと「暴走」する機体があるので、レベルの上げすぎには注意が必要です。熱血技能は任意にレベルを下げることが出来ない技能です。また、「暴走」のないロボットでは限界熱血値を越すことが出来ません。

人間力技能/プラーナ (精神/至難)

 魔装機を操縦する際に必要な技能です。レベルが低いほど魔装機は動かなくなり、レベルが高いほど魔装機の体数値とHPが上昇します。しかし、魔装機の「限界プラーナ値」を越えてしまうと「暴走」する可能性がでてくるので、レベルの上げすぎには注意が必要です。プラーナ技能は任意にレベルを下げることができない技能です。

人間力技能/騎士力(精神/至難)

 モーターヘッドを操縦する際に必要な技能で、レベルが低いとモーターヘッドは動かなくなり、レベルが高いほどモーターヘッドの敏捷力とチャージ速度が上昇します。モーターヘッドは限界騎士力1でもこえると毎ラウンドファティマ疲労値が1ずつたまっていきます。

注 「オーラ力」「同調力」「熱血力」「プラーナ」「騎士力」技能はまとめて「人間力技能」といいます。本文中に「人間力技能」とあれば、自分が操縦するロボットタイプに合う技能を説明している物だと思って下さい。効果は同じです。

 全てのロボット技能と人間力技能は自発的専門化することができます。BP155 この場合専門化できる範囲はロボットタイプごとに分かれます。オーラバトラーでガラバを自発的専門したキャラクターは違うロボットタイプのスーパー単体系のマジンガーZを自発的専門化することもできるのです。
 自発的専門家の技能値+5修正はTIR世界の中ではかなり有効な手段です。専門化したロボットと添い遂げる気があるのならば積極的に自発的専門化は行うべきでしょう。
 問題は人間力技能の方です。これにはロボットタイプによる種別分けがありません。人間力技能の自発的専門家には十分な検討が必要です。

第4章 ロボットを運用する

 たいていどの世界においてもロボットは戦闘時おいては絶大な威力を発揮しますが、それ以外の場合は場所をとるばかりで搬送が難しく取り扱いが複雑です。しかしロボットにはそのような事ばかりではなくさまざまな社会事情や出来事が深くからみついている場合があります。

 ロボットが地位や職業と深く結びついている場合
 この世界のロボットは一般的には全く普及しておらず、特別な作業や戦闘にだけ使われています。ロボットを操縦できるのは特別な訓練を受けた限られた才能を持つ者ばかりでほとんどのロボットはただ一体だけ存在しています…。
 これはポピュラーなロボットアニメの定番世界です。キャラクターは限られた才能を持つパイロットにならざるを得ません。キャラクターは「毎回の命令」や「守秘義務」などを特徴として持ち、自身の判断ができる状況が「戦闘中」のみになりがちです。毎週TVで見る分には楽しいでしょうがキャンペーンゲームに向かないことは明らかです。コンベンション等の単発のシナリオでならばプレイヤーとマスターの力量次第でかなりの充実度にできるでしょう。キャラクターが大勢の場合、合体ロボット系にするとひまなプレイヤーができずに良いようです。

 ロボットが地位や職業と結びついている場合
 この世界のロボットは一般的にたくさんの労力がいる作業に使われています。土木作業や建設工事に使われることが多いでしょう。ロボットは軍事目的以外にも一般に普及していると言えます。個人でも何とか手が届く範囲の趣味的な使われ方をするかもしれません。公的な警察組織や犯罪組織にはすでにロボットが戦闘用として導入されているでしょう…。
 これはロボットが特別なものだと認識される最後の段階の世界です。キャラクターが何の背景も持たずにロボットを活用できる最初の段階とも言えます。キャラクターの戦う相手はほとんどがロボット以外のもので、シナリオのボス的な存在としてロボットが現れてくるでしょう。ロボットを扱う職業が一般的なものであるなら驚くほどのバリエーションと台数を見るかもしれません。
 キャンペーンを行うときはこの世界をおすすめします。

 ロボットがとても一般的な存在の場合
 この世界のロボットは現代の乗用車並に簡単に手に入れられる存在になっています。ロボットは用途によって小型化、機能化、種別化され、すでに人型はしていないでしょう…。
 このような世界では人間の生活がロボットに依存するようになり、ロボットを操縦して戦おうというTIRの主旨からはずれてしまいます。しかし、小型化、特殊化されたロボットは高機動装甲服のようなものとして対人間、対装甲車両を主とした仕事をしているかもしれません。
 大型ロボット同士が戦う様な迫力はありませんが、シナリオに工夫できる世界でもあります。


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