第11章 ロボットタイプの特殊能力

モーターヘッド系
ファティマ・ファッティス…モーターヘッドはかなり特殊な部類に入るロボットで、基本的な体数値がパイロット(ヘッドライナー)とファティマ・ファッティスと呼ばれる人造人間によって変化します。まずロボットの敏捷力はパイロットの敏捷力を表の値だけ差し引きます。つまりパイロットの元の体数値よりも敏捷は低くなってしまうのです。(それを補うのが騎士力技能です)そして、ロボットの体数値の中でも重要な位置を占めるセンサーランク、移動力全般、必要騎士力、限界騎士力、消費エネルギー量の限界値を決定するのがファティマ・ファッティスの能力です。(ロボットが移動できない地形タイプをファティマの地形タイプで置き換えることは出来ません。) この人造人間達はモーターヘッド(ひょっとするとほかのロボットも)の活躍する世界ではもっとも美しく華麗で華奢で高価な部品です。育成に16〜20年。(地球時間ではおよそ5〜10年ほどか?) 「お披露目」と呼ばれるファティマのパイロット決めの儀式では一体およそ50億円から天井知らず、しかもファティマ・ファッティス自身が決めたパイロットでなければ所有することは出来ません。(無理に相性の悪いパイロットと組み合わせた場合、ファティマの地形タイプは全ての地形で−2、消費エネルギー量の限界値が半分にされます。) マスターはファティマ・ファッティスを「ロボット妖精」のように扱うことでモーターヘッドのでてこない世界に登場させることもできるでしょう。
 ファティマをモーターヘッド以外のロボットタイプに乗せるには最低でもMサイズ以上のロボットであることが条件です。さらに改造ランクを一段階使ってファティマ用のシートを造らなければいけません。このようにしてファティマが乗ったロボットは移動力全般がファティマのデータと元のロボットのデータとを比べ、良い方の数値を使えます。さらにロボットの体力に+5が加えられます。しかしこの場合、モーターヘッドのように「エネルギーチャージ」と「エネルギー係数の増大」は使用できないので「騎士力」技能は必要ありません。しかし以下の特典はモーターヘッドのように使用することが出来ます。
・全移動してから攻撃を2回行うことが出来ます。
・全移動を2回してから攻撃を行うことが出来ます。
・通常の攻撃を3回行うことが出来ます。
・同ラウンドに狙う→射撃→攻撃を行うことが出来ます。
・射程が届くのなら複数の相手に(準備が必要のない)射撃か 格闘を行うことが出来ます。
…以上の特典はロボットの戦闘タイプの効果と重複します。しかし武装とロボットのサイズ差によって攻撃回数が減ったり増えたりする場合は複数回攻撃の特典を使うことは出来ません。ファティマといえどもバスターランチャーを1ラウンドですぐにチャージしたり、サイズの小さな武装を1ラウンドに9発も撃つことは出来ないのです。
 以上のようにファティマはロボットの能力を飛躍的に増大させることが出来ます。しかし通常のコンピュータと違い生きているのでロボットが「機体疲労値」をためていくようにファティマも精神的に疲弊していきます。ファティマが戦闘に参加すると以下のように「ファティマ疲弊値」が上昇していきます。これは出来ればマスターが密かにメモしておくべきでしょう。ファティマ本人が自分の精神状態を所有者に告げることはまれなのです。ファティマ疲弊値がファティマの「必要騎士力」を越えるとファティマは動けなくなります。もちろんファティマを搭載しているロボットもその時点で機能停止してしまいます。
ファティマ疲労値の増大と減少表
・戦闘が終了する+1D6
・所有者が疲労する、朦朧とする+1
・所有者がけがをする、気絶する+2
・所有者が死ぬ+5
・ロボットがダメージを受ける+1
・ロボットが機能停止する+2
・ロボットが誘爆する+5
・相手ロボットを撃破する−2
・自分よりサイズの大きいロボットを撃破する−4
・マスターの裁量により±6
ファティマの疲労値を回復させるにはファティママイトによるカウンセリングが必要です。(ファティマ育成技能参照)また、非常にリラックスできる恵まれた環境にいるファティマは何もしないでも5日で1の疲弊値が回復していきます。(「リラックスできる環境の程度」はマスターとプレイヤーが相談して決めて下さい)

選択ルール ファティマによる戦略
戦闘でロボットが不利になるとファティマは自らの判断でロボットを操縦することがあります。これはもちろんパイロットの代わりに戦闘するわけではありません。 無茶なマスターをいさめて「撤退」しようとするのです。この撤退は他のパーティの仲間や上司の命令に左右されるものでは決してありません。ファティマは所有者の命を何よりも優先しているのです。
具体的には、連続の戦闘を始める時や不利な状態になった時には反応判定が必要になります。 戦闘中の例としてはロボットのHPが0%をきった時、相手の数が倍以上に増えたとき、パイロットが気絶したとき等です。
反応判定表の「援助要請」に以下の修正を加えます。(もしもマスターが許すのなら容姿やカリスマの修正を加えます。)…累計できる修正は累計します。
・所有者が疲労している−1
・所有者がけがをしているダメージ値分マイナス
・ロボットがダメージを受けている−3
・ロボットのHPがマイナスダメージを越えている−6
・相手は以外と強そうだ−2
・所有者が朦朧した(していた)−2
・所有者が気絶した(していた)−6
・疲弊しないファティマである±6
・ファティマは所有者を信頼している±15
…マスターは反応判定結果と、所有者とファティマの信頼関係を元に戦闘を継続させるかどうかを決定して下さい。 判定結果で「7〜9 良くない」以下がでると、ほとんどの場合ファティマは所有者のロボットコントロールを無理にでも切って撤退しようとします。
一部のファティマは戦闘によって疲弊することがありません。これはファティマの行動原理「(MHに乗って)戦え」「(MHに乗っていない時は)殺すな」という二律背反なプログラムがされていないことを表します。しかしそれはファティマに「能動的な自我」を芽生えさせることにもなりかねません。このようなファティマには戦闘中に必ず「ファティマの戦略」を使って下さい。 これはファティマの扱いにランダムな要素を持たせるためと宝石のように貴重なファティマをプレイヤーの蛮勇から守るためです。

イレーザーエンジン…太陽光によって莫大なプラズマエネルギーを発生させるモーターヘッド独特の駆動機関です。基本的にはヘビーメタルのツインメリットコーティングと同じ働きをします。その差違は絶対的なエネルギー量の差だけです。
エネルギーチャージ…モーターヘッドは太陽光の下で戦う限り毎ラウンドメモ欄にある数値だけ行動時間が回復していきます。騎士力技能でこの回復時間は早まっていきます。
パワー係数の増大…モーターヘッドのエネルギーを使った攻撃は格闘時に余剰のエネルギーを使用することで以下のようにそのダメージを飛躍的に増大させることが出来ます。消費エネルギーは攻撃の前に宣言しなければなりません。攻撃がはずれたり防御されてもエネルギーは消費してしまいます。
格闘時 行動時間 +50消費 Mサイズ ダメージ+1D6
          +100   Lサイズ ダメージ+1D6
          +250  LLサイズ ダメージ+1D6
盾無しMH     +50消費  Lサイズ ダメージ+1D6
バスターランチャーを行動時間消費で発射した場合にのみ
          +500消費  ダメージ+1D6
このエネルギー消費量の上限値は各ファティマによって決まっています。また、騎士力の上昇C(チャージ)速度はファティマのエネルギー消費量上限値にも加えることが出来ます。
バスターランチャーのリバースチャージ…バスターランチャーはセレクターによって自由にエネルギー消費型の射撃とカートリッジ消費型の射撃に切り替えることが出来ます。その際、カートリッジ型のバスターエネルギーを使ってMHの行動時間補充に当てることが出来ます。 リバースチャージを行うにはロボットの耐久力判定が必要です。これに失敗すると機能停止してしまいます。成功するとMHは行動時間が4000回復します。 この行動には1ラウンドが必要で3機体疲労値を消費します。
テレポート…ファティマという超高速同時演算可能なコンピュータが搭載されることで可能になったモーターヘッド独特の移動方法です。大量のエネルギー消費が必要ですが光速に近い速度で移動することが出来ます。
 まず到達したい場所と距離をヘクス単位で正確に認識する必要があります。この計算時間はファティマのセンサーランクによって差がでます。
B…4ラウンド必要
A…2ラウンド必要
S…1ラウンド必要
SS…ラウンドの終了時にテレポート可
計算終了後に機体疲労値を4、行動時間を5000消費すれば惑星内の開けた場所にならどこにでも1ラウンドで到達することが出来ます。(高速で移動中のものや閉鎖された場所にはテレポートできません)テレポートしたばかりのパイロットは自動的に朦朧としてしまいます。計算中でも戦闘を続行することは出来ますがファティマの特典(攻撃回数の増加等)はすべて失われます。

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